さ、さささささささーーーーむーーーいーーー!!まったく。当初の予定は初デートだったはずでは華嬢さん。回りくどくがんがん無計画に書いてたら「初デートにいたるまでの経緯」になってしまいました・・・。およよ。しかも南条さんキャラちがわねえか。とりあえず、初々しい二人ってのを書いてみようと思って・・なんせサイト上の最初の作品になることだし・・・んで、見事に失敗。

so sweet


「南条、でーとしよ」
「・・・は?」

突如として投げかけられた言葉に、南条は思わず間抜けとしか言えない返事をせざるを得なかった。


ここはエルミン学園2−4の教室。太陽は高く昇り、並んだ窓からは暖かい日が差し込んでいる。ほとんどの生徒が昼食をとり終え、あと十数分で昼休みの終了を告げるチャイムが鳴ろうとしているところだった。この南条圭はいつものようにいつもの席で文庫本に熱中していて――・・気になる続きを早く読もうと、軽い音を立てその丁寧にカバーをかけられた文庫本のページを一枚めくった、その瞬間だった―・・このいかにも軽率そうな赤髪の少年―、上杉秀彦が南条と本の間に横から入り込んできたのだ。
屈託の無い笑顔でにかっと笑ったかと思うと、上杉は軽い足取りで南条の正面に回りこんだ。目の前でニコニコと笑顔を振りまく上杉に、南条はなんとなく嫌な予感を覚え、もう一度聞き返す。
「すまん上杉。俺は耳は悪い方では無いと思うのだが――、何だって?」
「だから、デートしよっ」

南条は、たしかにこめかみの辺りに軽い痛みが走るのを感じた。
「寝言は寝てから言うものだ」
「うわ、ひでぇ」
そう軽く言い放った南条に上杉は大げさに肩をすくめてみせた。しかしまたすぐに笑顔になり、身を乗り出して南条に顔を近づける。
「寝言でも冗談でもないって!オレ様はいつだって本気っスよ!ほら、明後日から連休じゃん?だからさ、ねえ、オレ様とデートしようぜぃv」
ご丁寧に文末にハートまでつけて上杉は目を細めて笑った。
自分勝手に話を進める(いつものことだが)上杉の様子に南条は思わず大きく息をつく。いわゆるため息という奴である。少しの間を開けー。上杉と目を合わせた。
「デート?」
「うん、デート」
南条は頭の中から辞書を引き出した。デート・・・。異性同士がそろって街などへ出かけたりする・・・・アレか。
そんなことはわかっている。そう、誰でもわかっていることだ。南条はまた、上杉と目を合わせる。南条にとっては、まあ当たり前といえば当たり前の質問を繰り出してみる。
「どうして俺が貴様とデートしなければならないのだ。」
「なんでってー・・彼氏彼女はやっぱ休日にデートしなくちゃ」



スパンッ



「痛ええっ!!」
南条は怒りの表情を隠そうともせずに、今上杉の頭に打撃を与えた文庫本を手に湛え、上杉を思いっきり睨み付けた。自分の出せる精一杯の低い声を出してみる。果たしてこの上杉相手に威嚇になるかどうかは疑わしいところであったが。
「誰と、誰がだ?」
「言わなくちゃわかんない?」
上杉はまたオーバーに、はたかれた頭を両手で押さえなみだ目になりながら南条を見上げた。
南条は少しだけ乱暴に手にした文庫本を机の上に置く。わかってはいたが、それを口に出すのは南条の理性が許さなかったのである。ようやく上杉に聞き取れるほどの声量で口を開く。
「俺とー?」
「オレ様v」
―本気で言っているのかこの馬鹿男は・・・・。
そう頭の中でつぶやくと南条は心底不機嫌そうな目で上杉から目をそらした。南条のシンボルマークとも言える「一番」マフラーが微かに揺れる。そして、大きく息を吸うと、上杉の期待をばっさりと切り捨ててやった。
「俺は貴様とそんな事などする気はさらさら無い。他を当たれ」
「えええっ!他じゃ意味無いんすよー!オレ様は、南条とデートしたいんだから!」

  




「断る」
「えええええっなんでっスかああ!?オレ様南条と」
「断る」
「折角この前新しい服を」
「断る」
「今ね、噂になってるおもしろそーな映画が」
「断る」
「雑誌でね、旨そうなイタ飯屋を」
「断ると言っている」
少しの間があったかと思うと、突然上杉はわあっと顔を両手で覆い泣くそぶりを見せた。ここが教室だということもまったく頭に入れずわあわあと騒ぎ出す。どうやらこれが上杉にとっての精一杯の抗議らしい。
「ひどーい!!南条ったらひどーい!!そんなにオレ様のこと嫌いだったんだー!!一分一秒でも傍に居たくナイ程オレ様の事イヤなんだー!!!」
「ば、馬鹿者!大きな声を出すんじゃない!」
突然の上杉の大きな声に驚いたのか、クラスメートが何人か二人の方を振り返って見ている。南条はそんなクラスメートの視線を体中に浴びつつ、驚きのあまり思わず上杉の口を塞いでしまっていた。気がつけば鼻まで塞いでしまっていたのか、窒息状態に陥って居た上杉がむーむーと酸素を求め南条の腕を掴みじたばたと暴れている。それに気づいた南条は慌てて手を離した。南条の手から解放されようやく空気を手に入れることが出来た上杉がぜいぜいと肩を揺らしながら言う。
「はあっ!もうっ南条ったら〜・・・」
「そっそれは貴様がいきなり大きな声を出すからだな・・」
南条はその性格に似合わず少し慌てた様子でまだ苦しそうな上杉を覗き込んだ。一応南条なりに心配している様子である。そんな南条の様子を見て、上杉はクスっと静かに笑って見せた。口はどれだけ悪くとも、言葉はどれだけそっけなくとも、上杉は南条のこのようなごく稀に見せる優しさが好きだった。上杉もまた南条の目を覗き込む。
「じゃ、デートしてよ♪」
いまだ諦めるそぶりを全く見せない上杉に、南条は結局それか・・と肩を落としてみせる。南条は腕を組み、その頭脳をフル回転させて考えをめぐらせた。どうやってこの諦めの悪い男を引かせるか・・と。きっと上杉はどれだけ言葉を浴びせようとも諦めはしないだろう。無視を決め込んだところで、断りもなしにいきなり南条の家に押しかけてくるのがオチである。どうすればよいのだろう、どうすれば・・・・
「ねえねえ南条〜お願いっスよー。いいじゃないスか減るもんじゃなし〜。オレ様なんでもするから〜」
「・・・・・・何でも、か?」
「うん。オレ様に出来ることなら何でも!」
何でもこい!といった風に、上杉は大きく胸をそらしてみせる。南条は、組んだ腕を解き、上杉を見下ろすように軽く顎を上げて見せた。
「では・・・そうだな。貴様にして欲しい事・・というわけではないが、条件を出そう。もし貴様がその条件を見事クリアする事ができたら、考えてやらないこともない。できるか?」
今までやる気の無い様子だった南条が急に話に乗ってきてくれたので、上杉は嬉しさを隠そうともせずぱあっと満面の笑顔になる。
「出来るっす!!」
笑顔でそう答えた後、あ。と声を出して急に怪訝な表情を浮かべる。
「で、でも・・・常識であんまりにも無理そうな無茶な事は言わないでよ?オレ様か弱い男子高生なんだからぁ」
南条が上杉の想像の範疇を超えるような無理難題をしかけてくるのだろうと思ったのだろう。少し不安げな声を出して上杉は眉をひそめた。
「あたりまえだ。まあ普通の人間なら確実にこなせることだな」
それを聞いて安心したのか、もうデートは決まったようなものだと確信したのか、上杉はまた明るい調子で笑い、人懐っこく南条の肩に手をかける。自らの肩に置かれた手をジト目で見やりながら、南条は凛とした声ではっきりと言ってやった。

「明日の数学の小テストで追試にならなければ、貴様と付き合うことを考えてやらんでもない」



間。




「・・・・・・・・・・・・・無理」
「では、デートは諦めるのだな」
「それは嫌」
「ならば合格点を取って見せろ。それほど難しいものではない」
「でもそれは無理。確実に」
「・・・・連休は図書館にでも行くとするか」
「ううううううううううううううううううううう」



ようやく諦めた様子で、上杉はぱっと南条の肩から手をはずした。とぼとぼとした表情で「ケチ」と言いながら自分の席へと戻っていく。南条は冗談まじりにこの条件を出したのだがどうやら上杉が本気に取ってくれたので、ほっと安堵のため息をつき、また机の上の文庫本を手にした。これで諦めてくれる。


これで―――諦めてくれる。

・・・・・・・・・

・ ・・・・・・・・




しかし、南条は、上杉が学校で購入して以来今まで家に持ち帰ったことなどほとんど無い数学の教科書を鞄につめ、ため息とともに帰路についた事を知らない。
彼は、本気だった。






● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●




「おはよ上杉、うわどしたのその顔」
「Wow・・どうしましたのBrown?顔色が優れないですわよ?」
「え、お前、マジダイジョブかよ」
南条に「条件」をだされた上杉は、翌朝登校すると同時にクラスメートから次々と心配気な声に包まれた。
「ん・・・ありがと皆。大丈夫っすよ・・・」
てかあんまり話しかけないで・・覚えた数式が頭から抜けてっちゃう・・・。
上杉は心の中でそう呟きながらのろのろと自分の席についた。いつもの上杉ならば教室にはいると同時に南条の席へと走って行きひたすらしゃべり続け南条に軽くあしらわれる・・・という日課とも言える風景をクラスメイトに見せてくれるのだが、今日に至ってはそれをする余裕すらないのだろう。席につくなり鞄から教科書を取り出しぶつぶつと何かを呟き始めた。髪の間から覗くその表情は暗く、顔色もなんだか悪い、一言で言うのならば「廃人」という奴であろうか。
「おいおい・・雪でも降るんじゃねえのか・・」
いつもとは明らかに様子が違う友人を不審に思ったのだろう。気遣いの言葉をかけながら、稲葉正男が上杉の机の前へと歩み寄ってきた。
「おい、上杉?なんかお前やば気な顔してんぞ?なんかあったのか?」
「あ、まーくん・・・」
「何お前、隈できてんぞ?目の下」
「そりゃそうでショ。一睡もしてないもん」
「何!?」
声を発したのは稲葉ではなかった。振り返らずとも声の主など上杉にはわかっていたのだが、とりあえず二人は声のした方向に顔を向けた。
「なんじょ・・・」
上杉と稲葉の会話を聞いて思わず声を出してしまった事を後悔したのか、一瞬躊躇したように言葉を詰まらせたが南条はぐいっと顔をあげると上杉に向かって言葉を続けた。
「上杉、一睡もしていないというのは本当か?」
まずいこと聞かれちゃったかな・・とそんな表情を浮かべながら上杉は自分の方に近づいてくる南条に笑顔をー・・かなり無理のある笑顔だったが、を顔に貼り付けて手をぱたぱたと軽く振ってみせる。
「うん、そう」
「「そう」って貴様・・・まさかとは思うが」
「でひゃひゃ、ちゃんと休みはあけといてくれなきゃ困る
ぜ?」
「は?何上杉またなんかたくらんでんの?」
「またとは失礼っスねー」
「だってお前ぇいっつも・・」




二人の会話がなぜかもの凄く遠くで交わされているような錯覚に南条は襲われていた。
なぜだ?
こいつは、自分には不可能な条件だとあきらめたのではないのか?いつもテストがある度に追試告知の紙には休むことなくその名を連ね、懲りることなく教師に叱咤を受け、飽きること無く仲間にからかわれる。その上杉が、俺の言葉を間に受けて、徹夜までして勉強をしてきた?

不可解にもほどがある――――。

「・・・南条?何呆けちゃってるんスか?」
軽く放心している南条が気になったのだろう。上杉は稲葉との会話を中断させ、南条の顔の前でひらひらと手を振って見せる。その行動にようやく南条ははっと我を取り戻す。だがいまだ驚きを隠せていない表情で上杉に問うた。
「貴様、本気なのか?」
「ひでえ!オレ様はいつだって本気だって言ったじゃないスか!!」
そう言うと上杉は教科書を開き南条の前に見せ付けてきた。
「見て!オレ様超がんばっちゃったんだから!!」
見ると、開かれたページにはいくつもの書き込みや乱暴なアンダーラインが見られる。
紙面は綺麗とは言いがたく、少なくとも本人の努力の跡が見られた。と、思う。南条は何も答えることの出来ないまま上杉の教科書に目を落とすばかりだった。





HRが始まって、授業がはじまった後も、なぜか南条は上杉のことが頭から離れなかった。

何故だ。

何故俺のためにそこまでする必要がある?
あいつなら気の知れた仲間も、わざわざ俺を誘わなくてもあいつのために休日を割いてくれる奴はたくさんいるだろうに・・。何故・・・・?確かに上杉は事あるごとに俺にくっついてくる。好きだのなんだのという言葉はもう飽きるほど聞いた。だが所詮男同士だぞ?あいつが得意な冗談ではなかったのか?男の俺に好きだと言ったところで、一体なんになるというのだ。まさか、本気でこの俺の事を――――?



そんな堂々巡りともいえる考えをめぐらせていたところに、ひときわ大きな声が教室内に響き渡る。
「では告知しておいたテストを始める。まあ、簡単な小テストだからな。でもちゃんと追試は用意しておいてあるから気は抜くなよ」
教師の言葉を合図に、生徒たちは机の上の荷物を中にしまい始める。だが、他の生徒達が騒ぎながらそうしている間、先ほどからぴくりとも動かない人影が、ふと南条の視界に入った。南条の席の3つ前――――いつからそうしていたのだろうか。机に突っ伏したままの赤髪の男は、隣の席の女子に、小さく肩を揺さぶられている。ただ眠っているだけではないらしく、女生徒の声にもまったく反応を示さない。南条はその様子に訝しげに眉をひそめた。周りの生徒が大体準備が終わり口を閉ざしたせいで、その女生徒の声が聞こえるようになる。
「上杉君?テストだよ?ねえ起きてったら。上杉くーー」
肩を揺さぶる動きが大きくなったところで、―――――――上杉の体は、大きく揺れたかと思うと、ぐらっとバランスを崩し――――
「きゃああああ!!?上杉君!?」
大きな音を立て、椅子ごと床へと崩れ落ちていった。

あの――――馬鹿男!!

南条は思わず心の中で叫ぶ。無理がたたって一気に体にきたのだろう。上杉は気を失っているらしくそれでも目を覚ますことは無かった。しかし南条は動揺したその心とは裏腹に、固まって何もすることが出来なかった。
湧き上がる教室、教師の指導により数人の男子生徒に抱えられて保健室へと連れて行かれる上杉。さまざまな声が教室のあちこちから聞こえてきた。
南条はそんな教室内の一部始終を、ただ、黙って見ていることしか出来なかった。
怒りでもなく、哀しみでもなく、もちろん多少の心配もしていたがーー。それよりもなにかもっと違う、言葉では言い表せないような気持ちが、南条の心の中に、ぐるぐると渦巻いていた。







「あああああああああ結局テストすら受けれなかったああああああぁぁぁ」
上杉が無事教室に生還を果たしたのは、正午もすぎた、昼休みの事だった。上杉は教室に入ってくるなり心配する他の仲間たちからの言葉に生返事を返し、自分の机に戻り一人で嘆き始めた。稲葉らと一緒に昼食をとっていた藤堂がさして興味なさそうに
「何、そんな大事なテストだったの?」
と合いの手を入れてやっている。稲葉は何かを察したような表情で、黙りこくって紙パックのジュースを飲んでいる。
「大事も大事ちょーーーーーー大事。オレ様にとって生涯をかけたといってもいい位大事だったんスよおおおお」
机に体をだらりともたれさせて、上杉が情けない半泣きの声を上げる。
そんな様子を、南条は自分の席から眺めていて――――。
小さく椅子を鳴らして、立ち上がる。
少しためらって、少しずつ上杉の方へと歩みを進める。
それに気づいた藤堂が、一瞬ですべてを察したように目を開き、小さく笑って嘆息すると、くるりと上杉に背を向け、稲葉たちと雑談を始める。
上杉はいまだ良くわけのわからないことを言いながら机に突っ伏している。
更に歩みを進め、上杉の前にまで来る。
上杉はいまだ気づいた様子も無く。ただただわめいている。
南条は大きく息を吸い込む。
こんなに人に話しかけるときに緊張するのは始めてである。
ほんの少しだけ、体の内側が熱くなるのを感じた。



何故、何故俺がこんな事をしなければならないのだ。
そもそもあいつが勝手に誘ってきて、冗談半分に条件をだしてやれば本気にして、限界を超えるほど無理をして―――自分で勝手に自爆した。これで俺は週末をあいつに振りまわされること無くすごせるんだ――――。それだけだ。何なんだ。何をそんなに、何を、そんなに・・・・・



ただ、あいつが、あんまりにも残念そうなカオをするから。



「帰れ」
やっとの思いで、体から振り絞って出た言葉は、それだけだった。
「え?」
いきなり頭上から降りかけられた言葉に、上杉は思わず頭を上げる。見上げると、そこに少しだけ顔を赤に染めた南条の姿があった。いきなりそんな言葉を言われただけでは全く意味がわからない。上杉は自分の周りに疑問符をいっぱいに浮かべ、もう一度「へ?」と聞いてみた。
「だから、帰れと言っている」
「帰れって・・・・あの、何なんスかいきなり」
南条はこれくらいわかれ、といった風に上杉を軽く睨む。
「言わなければわからないのか?」
昨日上杉にかけられた言葉をそのまま返してやる。
「家に帰りーー・・十分な睡眠をとってこい」
まだわからないらしい。上杉は更に聞き返してくる。
「は?あ、あの・・・?」
決定打を言わなければわからないのかこいつは?
「そ、その隈だらけの情けない顔では・・、い、一緒に街中を歩いてやらないからな」
上杉の目が大きく開かれるのがわかる。
「明日き、貴様に付き合ってやると言っている」
上杉は信じられないといった表情でまじまじと南条を見つめてくる。
「で、でもなんで・・・オレ様、テスト・・・」
とうとう恥ずかしさのあまり、南条は上杉から顔をそらしてしまった。そのせいで耳まで赤く染まっていることがわかる。
「努力は、認めてやると言うんだ。い、嫌ならいい」
言葉は違うといえども自分からデートの誘いをしてしまったのだ。こんなことにもちろん慣れているはずもなく、南条はくるりと背を向ける。
上杉の顔がみるみるとあかるくなっていく。さっきまでまるで世界の終わりかのような顔をしていたのが嘘のようである。
「南条――――――――――――――っっっっっっ!!!!!」
上杉はそう叫ぶと南条に後ろから抱きついた。
やった!やった!しかも南条から条件取り消して・・・っていうか誘ってくれた!これってこれってひょっとしてひょっとしなくても結構脈ありィ!?!?
「なっなななななななななな何をする!!!????」
当然の上杉の行動に南条は慌てふためき、力ずくで上杉を自分の体から引き剥がす。と同時に上杉の頭に一発拳固をくれてやるが今の上杉にはなにを言っても何をしても無駄なのであろう。上杉はへらへらと笑い続けるだけである。
「わかったらさっさと早退届けを出してこい!!」
照れ隠しに大声を上げる南条に、上杉ははーいと軽い返事を返すのだった。顔に、満面の笑みを浮かべて。




かくして、上杉秀彦はこうして南条圭との初デートを決行するに至ったのである――――



が、

あれから自宅に帰り、たっぷりと睡眠をとったにもかかわらず、
デート当日、南条と見に行った映画館で、始まってわずか30分もたたず寝息を立て始めたことを、追記として述べておこう。
その脳天に南条からの強烈な一撃をくらったのは言うまでもない――――。

                         FIN

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