やべえ!何がしたかったのかさっぱりわかんねえ!!さあて、えぴそーど、わん。ということで。勝手に想像をばしてみましたですよ。少年は・・だれだったかは・・もう言わずもがな。私途中で何度も「少年」のとこ「上杉」ってかきそうになりました。あいやあ。
んん。たまにはこんなハナシがあってもいいんじゃないんでしょうかと思いますがどうでしょう・・。なんだか、すごくいきなり始まっていきなり終わったような気がしないでもないです。
その通りですな。
ちび南条と上杉は性格がつかみづらいです・・。




えぴそーど、わん。
「何と・・。エンストですと?」
聞きなれた老執事の声が少し曇るのが聞こえて、南条は思わず転寝から目覚め、隣にいる老人を見上げた。山岡・・・自分が生まれたときからずっと自分の傍にいる執事だ。きっと、これからもずっと一緒にいるのだろう・・・と思ったことがある。
「まったく・・何をしているのですか」
「もうしわけありません山岡さん・・・」
「直ぐなおりそうですか」
「ちょっと・・調べてみないとわかりませんね・・・」
そんな山岡と運転手の会話を聞きながら、南条は、くいくいと山岡のスーツの裾を引っ張った。夏だというのに山岡はいつでもきちんとした服を着ている。そういえば、山岡の私服というものをあまり見たことがない・・・。
「山岡」
「はい、何でございましょう坊ちゃま」
南条は山岡を見上げて幼い高い声で言った。その声には愛嬌というものを感じずにはいられない。山岡は主人の目を覗きこみそう応えた。
「えんすとってなんだ?」
「すいませんぼっちゃま・・」
山岡が応える代わりに運転席から声が聞こえてきた。
「ん?何故森野があやまるんだ?」
「申し訳ありませんぼっちゃま。少々お待ちくださいませ」
今度は山岡が謝った。僕はえんすとって何のことか知りたいのになあ・・と呟きながら南条は黙った。
「なんだかよくわからないけど森野が謝る事ではなさそうだ。気にしなくていい」
南条はそういうと車のドアを開けた。エンジンが止まってしまった車中の温度がだんだん上昇してきたからだ。外の方が温度は高いだろうが、風がある分ましだろうと南条は思った。
「直せるのなら直して、無理そうなら至急予備の車を持って越させなさい。あまり坊ちゃまを待たせないように」
山岡の声が背後から聞こえる。南条はぴょんと車から降りて軽く背伸びをし、眼鏡のずれを直した。横を見ると運転手の森野が電話をかけている。
空は、瞬きを許さない程に青かった。
山岡が直ぐ自分に続いて車を降りたが、森野が直ぐに山岡を呼んだ。
「少々ここでお待ちくださいませ坊ちゃま」
南条はうん、と頷き、辺りを見回した。
夏は本番で暑さも酷く、直ぐに自分の汗を感じる事ができた。南条は暇そうに辺りを見回す。
ふと、少し離れたところにある電柱の横に、自分が見たことの無い花が咲いているのを見つけた。南条はよく植物図鑑を眺めたりしていたので、身の回りに咲く花の名前は大体知っているはずだったが、どうにも記憶にない。振り返ると山岡が自分に背を向け、何か家の者と電話で話している。南条は静かにその電柱の方に歩き出した。
しゃがみこんで花を観察してみる。
やはり見覚えが無い。家に帰ったらよく調べてみようとそう南条は思った。
ふと、自分の足に何かが当たるのを南条は感じた。
ちらりと見てみるとそれはボールだった。両手に余るほどの大きさで、ビニールで作られているようだ。南条は特に何を思うわけでもなくそのボールを拾い上げた。
「・・・」
ボールの表面にはでかでかとした字で何か書いてあるがあまりに汚いためなんと書いてあるのかわからなかった。ぐちゃぐちゃとミミズの這ったような字である。寧ろ字とよべるかどうかも怪しい。汚い字だ。南条は率直にそう思った。自分よりも年齢が低いものが描いたのだろうと推測する。そのボールを、しげしげと眺めてみる・・・そして
「ごめんごめん!」
声が聞こえた。視線を移すと、そこにはこちらへ向かってくる少年の姿があった。麦わら帽子を被り、Tシャツに半ズボンという動きやすい服装をしている。年の頃は自分と同じくらいだろう・・身長も殆ど自分とかわらない。そしてその少年ははあはあと息を弾ませながら南条の前に来ると、にかっと笑った。
「俺のボール、ひろってくれてありがとな!」
人懐っこく少年はそう言うと南条からボールを受け取った。
「これは・・お前のか?」
南条が聞いてみる。すると少年はコクコクと頷いた。
「うん!俺の名前かいてあるだろ?」
南条はやはりこれは文字だったのか、と思い解読不能なそれをもう一度見た。
「おれのサイン!かっちょいいだろ?」
「別に」
南条は即答した。目の前で少年があからさまに嫌そうな顔をするのがわかる。
「なんだよ・・俺のサインだぞ?きちょうなんだぞ?・・って・・・」
少年は不満を一通り並べてから不思議そうな声をあげる。
「お前あんまりこの辺で見ない顔だよなあ・・・あたらしくひっこしてきたのか?」
「違う。この辺りには住んでいない」
「ふーん・・で、何してんの」
「待っている」
「何を?」
「車が・・・えんすとしたらしい。代わりの車が来るまで待っているんだ」
へー。と興味があるような無いような声をだして少年はボールを手の上で転がした。そして何か思いついたような表情をして、また笑った。
「じゃ。遊ぼうぜ!!」
南条は、きょとんとすることしか出来なかった。
遊ぶ?遊ぶって・・僕とお前が?なんで初対面の奴になれなれしくこんな事を言われなければならないのだ。
「今日友達皆出かけちゃってて俺暇だったんだ!はーやーく!」
そう言うが早いかその少年は南条の手を引いて駆け出した。南条は突然の出来事に思わずつんのめる。そしてつかまれた手を振り払う事も出来ずに南条はその少年について走った。
「は。はなせ!僕は山岡とっ・・」
「っ何ぃ?ごめんきこえなーい!」
少年はまったくのしらを切り通し走り続ける。

南条はある事に気が付いた。

もう自分が息を乱しているのにこの少年は息一つ乱すこと無く走っている・・。
南条は何かソレがくやしくて、何故か自分も負けないようにともっと早く足を交互に出した。気が付くとそれはかけっこに転じていて、二人は全力で道を走り続けていった。




「はあ・・・・・っは・・・」
「あはは!お前ナカナカ早いなー」
南条の体を次々と汗が伝い落ちる。南条が、どんなに一生懸命走っても追い抜くことが出来なかった。むしろ、ついていくだけて精一杯だった・・。そう考えれば考えるほど惨めになっていって南条は隠し切れない悔しさに思わず顔をあげ、少年をにらみつけた。しかし、その顔の前にずい、と何かが差し出された。
「っ?」
「ほら、お前、さっきこの花みてただろ?」
「・・・ああ・・」
「こっちに、いっぱい咲いてるんだぜー」
そして少年はまた駆け出した。南条は遅れないように後をついていく。そして、角を一つまがると・・

「わあ・・・」
そこには一面の花畑があった。さっき見ていた花はもちろん南条が実際見た事の無い花までもが一面に咲いていた。
「なー!きれいだろ?ここ、俺の秘密の場所なんだぜ!」
「・・・・・・・」
南条は言葉も無く、ただ、花畑を見つめていた。さまざまな色に、むせ返るニオイ。
「おーい!こっちこっち!!なー、これ、なんつー花なのー?」
呼ばれて振り返ってみればまたあんな遠くにいる。本当にいつのまにかどこかに行ってしまう少年だ・・。南条は、小さく笑った。
「待ってろ。その花は・・・」



二人は日が傾くまでそこにいた。



「うあー。もう夕方じゃん!俺家かえんなきゃ行けないなー」
太陽をみながら少年が言った一言に南条ははっとした。夢中になって遊んでいるうちにすっかり忘れてしまっていることがあった。山岡・・
「しまった!僕・・車を待たせてあって・・いそいで戻らなければ!!」
「え?そうなの?」
少年の言葉が終わる前に南条は駆け出そうとして・・振り返った。きょとんとした少年の顔が見える。
南条の頬は、少しだけ赤くなっていた。
「あ、あの・・今日は。そ、その・・」
「何?何?早く行かなきゃマズイんじゃないの?」
「その・・・・・」
南条は俯いて目を閉じた。
「楽しかった!!からな!」
少しずつ顔を上げていって前を見てみれば少年がまたきょとんとしている。だが、つぎの瞬間
「俺も!!」
そう言って、笑った。南条が今まで見たことのないような笑顔で。人は・・こんな笑い方をすることもできるのか・・と・・夕日を背に笑ってみせた少年の笑顔に目を細めた。南条も、小さくだが、笑ってみせた。
「あ、ああ・・・俺は・・・南条、圭という。お前は?お前の名前は?」
「なんじょーけーね。うん。なんじょう。覚えたぜ!んで俺?俺の名前はねえ・・」

「圭様!!!!」
少年の言葉は・・急に割って入ってきたある男の声によってかき消された。南条が振り返るとそこには若い黒服の男が立っていた。南条家の使用人の一人だ。その使用人は走って南条の傍に一気に走り寄ると南条の体を抱き上げた。
「!!何をする!!」
「圭様!私たちがどれほど探し回ったと思っているのですか!!まったく・・急いで帰りましょう。山岡さんもお待ちです!」
そして、南条の声も聞かずに使用人が走り出そうとしたその時。
「なんじょー!!」
「あ・・」
「このっ・・!呼び捨てで圭様を呼ぶとは・・」
「これ、やる!!」
少年は抱えられた南条の傍に近づくと南条の目の前に手をずいっと差し出した。
「俺の、宝物!!」
南条の手の平に落とされたのは小さな石だった。夕日を反射して、きらきらと輝いている。
「あ・・・」
「もうよろしいですね。参りましょう、圭様。」
南条はそのまま何も言うことが出来ずにその場を去った。
少年は、お互いの姿が見えなくなるまで、さっきの笑顔で手を振り続けていた。

南条は・・・その笑顔に、また、微笑みを返した。









そして年月は過ぎ、今、彼の手の中にその石はあった。
「懐かしいものだな・・。もう、どこかへいってしまったものだとばかり思っていたが・・。こんなところにあったとは・・・・」
南条は、手の平の上でその小さな石を転がした。なぜかふと思い出した、いつかの少年の笑顔。そういえば、結局名は聞けずじまいだったが――――
「圭様」
ノックの後。使用人の声が届いた。
「上杉様がお見えになっておりますが」
南条は軽く頷いた、誰がみているというわけでもなかったが。
「ああ、通してくれ、俺の部屋でかまわない」
「承知いたしました」
そう声がして去っていく足音。
南条は・・ふと、気がつく。
そういえば・・。似ていたな。あの笑顔は・・アイツに。そう思えば・・あの少年の仕草や口調は・・・・


「まさか・・まさか、な」
そう軽く呟き、静かに笑うと、南条はその石を大事そうに引き出しの奥にしまいこんだ。


FIN


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