イギリスの気候の事なんざ知りません。
オクスフォードのキャンパスなんて知りません。ぎいいい。ここいらで無知っぷりが発揮されましたが。
とりあえずは!

南条乙女やなあああああ。


打ってる途中で何度も自分でツッコミを入れたのですがもはや止まりません。こうなったらとことん行こうと南条さんには泣いてもらいました。いやあ・・・違和感・・・。
でも読んでて普通にオチが読めてしまうクソ小説ですな・・・。ちなみにノイスさん。今私の隣にある化粧水の名前からそのまま頂きました。(30秒)イギリス人の名前じゃねえだろうよ・・。ノイスさん。このあと南条から電話もらって誘いを断られてしまうことでしょう。

南条がとことん乙女なのでヒデヒコさんにとことんかっこよくなってもらおうかなと思ったらやっぱりいつもの通りでした。おう・・。
とりあえず言いたい事は南条お誕生日おめでとう。浮気すんなよ。これだけ。
ワタシまでハイテンションでお祝いしちゃうってなもんです。

南条、お誕生日おめでとう
これからも貴方達を愛していくからね・・。



                    
ジュウガツ、フツカ。
少し・・肌寒くなってきた。太陽は優しく日を照らしているがもう夏の格好をしている者は周りにはいない。皆が時折強く吹く風に目を細めながら街を足早に歩いている・・そんな日だった。


「Kei!」
声をかけられた。振り向くと、そこには大学に入ってから知り合った友人が笑って手を振っていた。明るい金髪がさらさらと揺れて光輝いていた。
「ノイス。どうしたんだ?今日は休みとか言っていなかったか?」
「もう!私がこんな日に大学を休むわけがないでしょう?」
そう言われて南条は、首をかしげた。どうしてそんな事を言われたのか良くわからない。
「あーもう!いいわ。すっごくKeiらしいもの!もう・・Keiが教えてくれたのよ?アナタの誕生日今日だって!!」
そう言ってノイスは南条の横に並ぶと南条と同じ速度で歩き出した。緑に囲まれたキャンパスの小さな小道を行く。南条は、また少し考えた。
「俺の誕生日・・教えていたか?」
「リアクションする所、違うと思うんだけど」
そう言って、南条と余り年は変わらない少女はむっすりと頬を膨らませてみせた。
南条は少し困ったような面持ちをして・・しかし直ぐにまた優しい表情に戻った。
「すまない。そういう意味ではないんだ」
数年前の南条なら・・他人に対してこのような態度をとる事などありえなかった。常に人を上からしか見ることができず、自分の心はひたすらに隠し続けていたのである。それが・・今ではもう数年前の話になる、あの事件のおかげで・・南条は変わった。だんだんと心を開くという事を知り、他人にもこんな穏やかな表情を見せるようになった。
南条をだんだんと変えていった理由はその事件だけでなく、もう一つあったのだが・・そう。いつも彼のまわりをうろちょろとして離れようとしなかった赤茶けた毛の・・
「それでね。Kei、・・・聞いてる?」
南条は青色の大きな瞳で覗き込まれ少々驚いたがまた直ぐに冷静さをとりもどした。
「ああ・・・と、今日俺の授業の終わる時間だったか?」
「そう!」
ノイスは満足そうにうなずく。直ぐに機嫌を治して眩しいばかりの笑顔を撒き散らす様は・・誰かに似ていて。
「今日は6時には終わるぞ。しかし何故だ?」
「あのねえ・・そこまでドンカンだと流石のワタシも怒るわよ?Keiの誕生日をお祝いするに決まってるじゃない!!」
「祝う・・・?俺の誕生日を・・・?」
「そう!おいしいレストランを見つけたの。この前ジュディと行ったときに偶然。多分気にいってくれると思うわ!」
そう言ってノイスはまた微笑んだ。この少女は南条がまだイギリスに来て間もない頃に知り合った友人の一人だ。慣れない南条に親切にいろいろと教えてくれたのは大抵このノイスだった。お世辞ではなく、本当にこのノイスのおかげで南条も早くイギリスに馴染む事が出来たと言っても過言ではないだろう。


南条には・・もともと自分の誕生日にそんなに思い入れというものはなかった。南条家で毎年ちょっとしたパーティーが行われたりはしていたが、今年は大学の授業も忙しいのでと断ったのだ。それに・・今年は誕生日に日本に帰ったところで・・・・・



でぃあ なんじょーけーさまv
ちーーす!久しぶり!俺様俺様!!今をトキメクスーパースターブラウン様だぜーい!
なんじょーは元気にしてる?
夏休みも南条帰ってきてくれたのに俺様のシゴト忙しくてあんま会えなかったねー。
ごめんね
ほら!俺様って超売れっ子だから!!!
んでねんでね。なんじょー。・・すっげー言いにくいんだけどさ。
毎年一緒にお祝いしてた、なんじょのたんじょーび。
今年、俺様仕事入っちゃったんだ・・・。だから一緒にいられない・・・ごめん。ほんとーにごめん・・・。
でもでも!5日から少しだけオフになるからそん時は会いに行くよ。ぜったい。そん時は一緒にお祝いしよーな。な?
んじゃまた。あいましょー。えへへ。すんげー楽しみにしてるぜ!

ヒデヒコより!かしこ!!



かしこは女性が使う言葉だ馬鹿・・・。
南条がまず思ったことはそんなような事だった気がする。二週間程前届いたエアメイルには相変わらずの汚い字でそんな内容が書いてあった。
日本へ帰ったところで・・・・
アイツに・・・

「Kei?今日は都合が悪かったかしら?」
俯いて何やら考え事をしていたような南条にノイスが不思議に思って声をかけた。南条は自分がボーッとしていた事に気づき、慌てて平生を装った。
ああ。そうだな。どうせ会えないのなら。
「有難う。是非行かせてもらおう。だが今日は荷物が多くてな・・・一度家に帰っていいか?」
南条はそう言うとノイスに軽く微笑んでみせた。ノイスはそれを聞いた瞬間ぱあっと笑顔になり
「楽しみにしてるわ!!」
そう言うと駆け足で南条の前を走っていった。途中で一度振り返り、「また後で連絡するわ!!」と手を大きくふった。南条はそれに応えて小さく手を振った。が。

なぜか、・・・誰かに似たその眩しい笑顔に、胸がチクリと、痛んだ。








「ふう・・」
南条は一つ息をついて、自分の部屋に荷物を降ろした。窓の外を見ればもうあたりは暗くなっている・・・。時計は、七時を少し回ったところだ。授業の疲れが出たのか、南条は大きく伸びをして、ベッドにごろんと横になった。横になったまま・・・ふと、机の上を見る。広げたままの手紙がそこにあった。その横には、シルバーの小さな指輪。去年、・・アイツから貰ったものだ。「まだ早いとは思うんスけどね」と照れながらアイツは。ゆっくりとそれを指にはめてくれた。アイツも、揃いの指輪を持っている。

南条はゆっくりと起き上がり・・それを手にとった。至極シンプルなデザインのそれは南条の指にぴったりと合って、不思議と違和感を感じなかったのを覚えている。が、実を言うと南条はその指輪を貰った次の日から今日まで、本当に数えるくらいしかはめていないことを思い出した。南条にはどうしても指輪というものは慣れないものだし・・。それに。何と言っても・・・

南条はそこで考えを中断し、その指輪を・・・ゆっくりと、指にはめた。それだけでなんだか自分の頬が熱くなるのを感じる。そして、更にゆっくりと、手を握り締めた。

そして、

馬鹿

と、小さく呟いた。






何分たっただろう・・・何故か南条はその場から動けないでいた。手を握り締めたまま、ずっと遠くを見ていた。何を考えるわけでもなく。ただ、じっと。
家についたらノイスに電話すると言っていたのに・・
そう考えたら、また胸がチクリと痛んだ。
ますますその場から動きたくなくなってしまう。南条は少しだけ顔をあげ・・・窓に映った自分の顔を見た。そして


自分の目から、涙が零れている事に気が付いた。


「あ・・・?」
気づかないまま。泣いていたというのだろうか?何故?何が悲しくて泣くというのだ?大体俺は涙など・・・・・
そう自分に言い聞かせると、ますます胸が痛くなった。南条は・・その場に崩れ落ちた。今までこんな言葉は口にした事などなかった。自分はこんな事を言う人間ではないと思っていたし、それにいつもは・・・。でも。もう嘘はつけなかった。南条は、自分にやっと聞こえる程度の大きさで、呟いた。それは、零れ落ちた、本当の素直な言葉。



会いたい





南条は自嘲した。いつの間に自分はこんな女々しい事を考える人間になってしまったのか?この南条圭が・・・そんな・・・・


ドアベルの音で思考は中断された。きっとノイスだ。電話が遅かったから、迎えに来てくれたのだろう。ノイスに、こんな顔は見せるわけにはいかない・・・
南条は涙を乱暴に拭うと、ドアへと向かった。

たとえこんな事を考えていたとしてもアイツは今日本で仕事中だ。

もう一度、ベルが鳴った。南条は少しだけ急いでドアに向かう。

それに、また数日したら来ると行っていたではないか。何を悲しむ事があるのだ?

ドアを叩く音が聞こえる。せっかちな女だ・・・俺は逃げも隠れもしないというのに

   なにも・・・悲しくなんかはない

カギをねじって、ドアのチェーンを外した。

   なにも。そう・・・何






「南条っっっっ!!!!!!!!!」



何・・・・?




ドアが大きく開かれると同時に人の影が南条に覆いかぶさった。そう思ったら南条は、あらん限りの力で抱きしられるのを感じる。強く抱きしめられているため、顔は見えない。

だが、こんな風に俺を抱きしめるのは・・
こんな乱暴に・・俺を抱きしめてくれるのは・・
この香り・・この感触。

一人しかいない。
世界で、ただ一人。

「上杉・・・・・」
南条はその名を口にした。そうすると、更に抱きしめる力が強くなる。
「何故・・?貴様、仕事が・・・あると・・・・」
「フケちゃった。仕事。やっぱ・・・この日に南条に会わないなんて・・我慢出来なくて・・・急いで・・俺・・・・」
走ってきたのだろう、息があがっている。上杉が、鼻先を自分の肩口に押し付けるのを感じた。手をやれば、いつもの赤茶けた頭。
「ごめん・・なんじょ・・・俺・・・」
南条は、その手を頭におき。そっと優しく撫でてやった。

「もういい・・・俺も・・・・・・・・・・会いたかった」






南条の部屋の隅で、二人は寄り添いながら座っていた。上杉が今朝からの経過をゆっくり話し、急いでいたあまりプレゼントを忘れた事を詫びた。南条は、良いんだ。とだけ応えた。南条の体に。上杉の声が、言葉が、一つ一つ染み込んでいく。南条はその心地よさに目を閉じた。上杉が、手を握ってくるのがわかる。南条は、まるでそれが当たり前のように手を握りかえした。温もりが、今ここに上杉がいるのだと、まぎれもなく傍に居るのだと確信させてくれる。と
「ありゃ?なんじょ、これ・・・・」
上杉が突然変な声をだしたので南条は目を開く。上杉は驚いたような表情で南条の手元に視線を落としている・・。何を見ているのだ?と南条もその目線を追って・・・
「っあ!」
気が付いたときにはもう遅いし、慌てて上杉の手を振り解き左手を後ろに隠したところでもっと遅い。
「なんじょ・・その指輪、しててくれたの?」
上杉が明らかに期待と喜びを交えた言い方で問うてくる。南条はその頬を真っ赤にそめながら、今日だけだ!!と叫んだ。
「今日・・俺様来れないって思ったから・・寂しくなってそれつけたの?」
つくづくいやらしいことを聞いてくる。南条は俯き、知るか!と応えた。しかし、そのうわずった声と真っ赤な頬が全てを語っている。上杉は、零れんばかりの笑顔で南条に抱きついた。
「なんじょったら〜〜寂しいなら寂しいって言えばよかったのにーーー!!」
「そんな事言うか!」
そう言ってごまかしたがもう何をいっても効果はないらしい。大人しくその腕に抱かれた。


「南条・・・」
「なんだ」
「本当の本当は・・寂しかった?」
「なんだ・・もういいだろう・・そ、そんな事は・・」
「いいじゃん。聞かせてよ・・・誕生日なんだからさ。素直になったっていいんじゃない?」
「どういう理屈なんだそれは・・・」
「いいじゃんいいじゃん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・」
「少し」
「ん?」
「少しだけ・・・だ」
「素直じゃないね」
「な・・どういう事だ!」
「泣くほど寂しかったって・・言えばいいのに・・・」



上杉は南条の頬に残る涙の線を、そっと指でなぞった。
南条は・・もう何も言う事ができなかった。
何も言う事ができなかったので・・・そのかわり、上杉の肩に、少しだけよりかかった。
上杉は微笑み、たんじょーびおめでと。と言うと、南条の顎を持ち上げ、深い、深いキスをした。



誰よりも大切な貴方へ
心からのキスをこめて
生まれてきてくれて アリガトウと

君は俯いて。少し、顔を赤らめて。
何時もと同じように、バカ。と呟いた。



FIN
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