変わらないもの


上杉秀彦は、変わった。
具体的にどこがどう変わったのかと聞かれてしまっても困るのだが、変わった。
漠然とそう思う。

どこかどう変わったのか。
挙げてみようと思えばいくつでも挙げることが出来る。
髪が伸びた。学生時代のような少しくせのある髪の毛はパーマによってまっすぐサラサラな髪にされ、本人はいたくご機嫌なようである。
少しだけ、目が細くなった。細い、という表現方法は間違っているのかもしれない。目つきがするどくなった、という方が正しいだろうか。
全体的に、体が逞しくなった。学生のころは蹴ったら折れそうな足や腕をしていたはずなのに、ついこの間、それはもうとうに昔の事だったのだと自覚した。
目立つのを、嫌うようになった。正確に言うとテレビの前以外で。という事だが。彼は今や日本の若者なら知らない人は居ないというほどにまで有名になってしまって、うかつに変装もしずに外に出るとすぐに人だかりが出来る。南条と二人きりの時間を大事にしたがる上杉は、外では目立つ行動をするのを控えるようになった。太陽と同じ色の髪の毛を、太陽の下で見る事も少なくなった。
陽の光に透けて輝く髪が、好きだったとは、結局言う機会などなかったが。
大人の笑い方をするようになった。昔のような大口を開けて快活に笑う事もなくはないのだが、その中でふと目を細めて優しく笑っている事がある。

その度に、南条の胸は、少しだけ、痛んだ。


そして、その男は今自分の隣で小さく寝息をたてている。
右手を伸ばして髪に触れる。あの頃より少しだけ髪は伸びたけれど。
手を移動させ、頬に触れる。あの頃より少しだけ目は鋭く、細くなったけれど。
さらにその手を移動させ、首筋にふれ、肩に触れる。あの頃より少しだけ体は大きくなってたくましくなったけれど。

「・・・な・・・んじょ・・・?」
名前を呼ばれて視線を顔へと移してやれば、薄く目を開いてこちらを見ている上杉の顔がある。
「ど・・か、した?」
声を聞く限りはまだ完全には起きていないようだ。少しいつもよりも高い声で、朧げな視線でこちらを見ている。

「・・・・なんでもない」
南条は上杉の顔に手を当て、そっと撫でてやった。上杉はそうされると至極気持ちよさそうに微笑み、目を閉じた。

とたんに、またあの痛みが襲う。
変わらないものはないのだと自分に訴えたところで、痛みは変わらず胸を襲う。
怖いのは、変わらないことではない。
怖いのは、変わってしまった上杉に、自分が置いていかれてしまうこと。
こんな痛みは、今まで自分は感じたことは無かったのに。

「そかー。じゃ、もっかい寝るっす・・・」
そう言って上杉は、もぞもぞと動くと、
そっと、その腕を南条の背中に回した。
「お、おい。上杉・・・」
南条が少し慌てて上杉を咎めると、上杉は更に、力を込めて南条の体を抱きしめた。
「上杉・・あまり力を入れると、痛い」
南条は少し困ったように呟いてやる。


そして
彼は


「なんじょ」

「何だ?」

そして
彼は
あの日の笑顔で笑う。

「大好きだよ」




南条は、目を細めた。
確かにそこには上杉がいた。あの頃の、上杉の、笑顔が。
変わらない、笑顔、が。




「・・・なんじょ。どしたの?」
「・・・・・・なんでもない」
「変なの。でもそんななんじょも好き」
「・・・馬鹿か」
「なんじょは?」


「愛している」

もちろん。今目の前にいる、少しだけ成長したお前の事も。








fin







あーごめんなさいごめんなさいサムくてごめんなさいもう一度ごめんなさい。
ラブい。痒い。
なんかつい最近私のペルソナ小説を読んだ某友達に「あんたの小説は痒い」と言われてしまいました。そっか・・・痒いのか・・・。微妙だなオイ!!

そんなわけで大分ほだされてしまった南条さんのお話です。
物凄く久しぶりに会った友達が昔と変わっちゃってたとき物凄い凹みますよね。


でも、結局はどの上杉も大好きなんだよと言うただのノロケ話。これだからうちの南条は弱くて困ります。

別に昔の上杉しか好きだったわけじゃなくて、なんか、その変わっちゃった事実が少しだけ痛かっただけ。南条さん難しいお年頃です。

某学園少女マンガのパクリですが
「毎日毎日好きになり、昨日の貴方より今日の貴方の方がずっと好き」みたいな!!
あの奥さん、可愛いよね・・・。
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